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== ビジネス・人文 ==

これはショック!『ショック・ドクトリン』ナオミ・クライン

東西冷戦華やかりし頃、ハイエクと共にミルトン・フリードマンの名は共産主義に対峙する自由主義の旗手として輝いて見えていたのですが…。彼および彼の弟子たち、シカゴ学派の面々が実際に行った政策の負の側面をこれでもかと暴いてゆくノンフィクション。タイトルの様に内容も些かショッキングです。
ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴くショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く
(2011/09/09)
ナオミ・クライン

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いわゆる新自由主義や市場原理主義と日本で呼ばれる、フリードマン流の経済学者たちが、平時では断行できないような、自らの理論通りの急進的自由化経済政策を、経済クライシスや大災害といった社会的混乱に乗じて、暴力的に断行(時に拉致や拷問といったリアルな暴力を用いて)していった歴史が語られて行きます。南米で、ソ連崩壊後のロシアで、アジア通貨危機後のアジア各国で、ハリケーンカトリーナ後のニューオリンズそしてイラクで…。
彼らの理論に従って、あらゆる公的セクターの民営化と価格統制等の政府介入の停止の結果、待っていたのは更なる経済的混乱と社会システムの破壊だけだったと糾弾する著者。

本書を読むと、そもマクロ経済学とはなんなんだ!という根源的疑問が湧いてきます。
私は経済学については全くの素人ですが、~フリードマンは経済学を物理学や化学の様な厳密な科学として扱っていることを自負してきた~という点には、多いに疑問を感じてしまいます。
なるほどモデルを用いた机上の経済理論は数学的シュミレーションが可能かもしれません。
しかし、現実の経済活動は人間関係を通じてなされる物である以上、その土地土地でのコミュニケーションの方法やコミュニティの慣習、歴史的な社会システムが存在するのですから、実行される経済政策はドメスティックなものに成らざるを得ないはず!100の国があれば100の経済政策があってしかるべきだと思います。

こうした現実を無視して自らの理論の証明を実社会で行うぞ!という発想が、いかにも人造国家アメリカ的であり、経済学=米学なんだなぁと思ってしまいます。
同時にシカゴ学派の考えは共産主義に対峙している様で、実は合わせ鏡に映った共産主義の左右の異なるもう一つの姿にすぎないのではないか?などと考えてしまうのです。

少なくとも、ハイエクらリバタリアンの思想とは全く違うし、これは保守思想ではない! 両者をまとめて市場原理主義と呼ぶのが誤りだと思うのです。

さて、本書はアメリカのノンフィクション一般に有りがちな(著者はカナダ人ですが)、自らの主張を裏付ける為に、これでもかという位の事例のオンパレードと、法廷弁論が如く自己に有利な様にやや強引に展開される理論構成から成ります。
覚悟していたとはいえ、少々(というかかなり)疲れます!
上下合わせて680頁で合計5000円は、かなりきつかった。
この内容なら、日本人なら250頁の新書で書けると思います。そのほうが小気味よい批判の展開になると思うし。でもこれだけの大作を書かれた著者には敬意を表したいと思います。

アメリカ的な経済思想を痛烈に批判する本書は、いかにもアメリカ的ノンフィクションでしたといういささか皮肉なオチなのでありました。

フリードマンに興味のある方、忍耐力を試したい方におすすめですw。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★(経済学に興味がある人は読むべき)
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