== 小説・エッセイ ==

第3弾「サヴァイヴ」はサクリファイス外伝!

6年前、一冊の本に出会いました。
近藤史恵
サクリファイス (新潮文庫) 。当時、自転車ロードレースなど、全く興味のなかった私が、この本を読んだ途端に、ツール・ド・フランスを含む、グランツールから目が離せなくなってしまい、毎年、レース期間中は寝不足から体調を崩す人生を歩む羽目になった因縁の一冊でした。

この本の素晴らしい所は
①事件の真相をめぐる謎解き(二転三転のどんでん返し)
②自転車ロードレースの面白さを説明しつつ展開される緊迫のレース
③絡み合う登場人物の緻密な心理描写
の3要素が絶妙のバランスで、且つ250ページ未満の短さの中にギュギュっと詰まっている事です。

翌年の本屋大賞の第1位に迷わず投票したのですが…。結果はこれも傑作『ゴールデン・スランバー』伊坂幸太郎 に敗れて、2位と涙を飲んだのでした。あれからもう5年がたったのですねぇ。

その後、主人公、白石誓の活躍の場を欧州に移しての続編
エデンが発表されています。こちらも佳作といってよい面白さなのですが、なにせ第1作が衝撃的だったので、ものすご~く期待してしまった私としては、正直、ある種の食い足りなさを感じてしまいました。
作品的にはサクリファイスの①の謎解きが薄まり、③の心理描写に重点が置かれたものになってします。書き下ろしとして発表されたサクリファイスに対して、エデンは新潮社のケータイ向け電子出版サイト、
新潮ケータイ文庫DXへの連載として発表されたと言う、両者の書かれ方の違いが、作品の色合いの違いを生んでいるのかも知れません。

さて、そしてシリーズ第3弾の『サヴァイヴ』です。
サヴァイヴサヴァイヴ
(2011/06)
近藤 史恵

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本作は、前1、2作とはやや趣を異にする作品です。
yomyomやStorySellerへ発表された短編作品集となっており、時間軸的にはサクリファイスの前の話と、エデンの後の話から成り立っています。
サクリファイスの登場人物、伊庭和美・赤城直輝・石尾豪そして白石誓のレーサーとしての苦悩・葛藤が描かれており、サクリファイスに見られた①謎解き②レース展開の要素はほぼ消え去っています。
前作の続編というよりもサクリファイスの外伝と位置づけられる作品です。

そんな訳で単純に前作と面白さの比較は出来ないのですが、読後感としては…。
エデンより好きです!
ただし絶対的な前提条件が有ります。
それはズバリ、サクリファイス・エデンの2作品を読んでいる事です。

サクリファイスの中で起きる重大な事件、この事件の存在がこのサヴァイヴのストーリー上の隠れた中心となっています。本文のなかで極めて限定的、暗喩的に触れられますが、事件そのものの説明はありません。したがっていきなり本作を読んだ場合、登場人物の心の葛藤や闇といったものが表面的にしか感じられない事になるので。本編を読まずに外伝から読んでもって事ですね。

実際、私の場合、本作を読んだ後、無性にサクリファイスをもう一度読みたくなってしまい、サクリファイスそしてエデンと3冊変則一気読みをしてしまいました。なんということでしょう!(ビィフォーアフター風)3冊一気に読むと面白さも3乗になるではありませんかw

1作目サクリファイスは文庫化されたので、買いやすくなってますヨ。
個人的には、3冊箱入りセットとか3冊ラッピングセット販売とかありかなぁ?とかサイクルスポーツ買ってるお客様にはイチオシだなぁ…。とか考えたりしますが…。
早く現場に戻りたいな (´・ω・`)

それにしても、やっぱり胸のすくようなレースが読みたい!白石誓が山岳ステージの下りでアタックするところを、ダウンヒル で快走するところを、ステージ優勝しちゃうところを!(できればロ・デ・イタリアとかで)

と、いうわけで、まだまだこのシリーズは続けてほしい。お願いします近藤先生! 第4弾に期待します。

読後の感想・おすすめ度⇒★★★★(3冊一気読みで行こう!)

┃ Tag:サクリファイス サヴァイヴ 近藤史恵

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「サヴァイブ」近藤史恵
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