== 小説・エッセイ ==

好きになれない作品 『幸福な生活』百田尚樹

永遠の0 (講談社文庫)の文庫化あたりから一気にブレイクした感の百田尚樹。一作毎に作風を変えてくるチャレンジ精神と毎回期待を裏切らない面白さに感心されられます。私のお気に入りは『ボックス! 』です。

前作『錨を上げよ』は長編ピカレスクロマンの傑作でしたが、一転今度の『幸福な生活』はブラックユーモアの短編集です。
幸福な生活幸福な生活
(2011/05/27)
百田尚樹

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トーハンの『新刊ニュース』に連載されていたものを加筆修正したものですが、連載時の印象があまりありません。何話か読んだ様な気も…。
全部で18話が収められていますが、一話の長さが13~15頁の短さ、いわゆるショートショートになっています。作品のミソは、全話落とし噺になっており、最後のセリフ一行で一気にストンとストーリーを終息させ、尚且つ、その最後の一行は頁をめくると現れる仕掛けになっている所です。凝ってますね~さすが百田尚樹!

で、肝心の中身なんですが…。うーん。これは好きになれないなぁ~。残念!百田さんゴメンナサイ!百田作品の中でこんな風に思うのは本作が初めてです。

冒頭の『母の記憶』最後の表題にもなっている『幸福な生活』は楽しめました。それ以外がなぜ好きになれなかったかというと、まず最後のオチに向かうにショートショートのストーリーがただの短いお話になってしまっている点です。ショートショートはその短さによって逆にストーリーのある部分が凝縮さてくるところが魅力だと思うんですが、それが弱い。最後の一行の為の平板な伏線って感じになってしまっている。確かにそういうパターンもありだとは思います、それで鮮やかなオチでシマルという展開。

ところが半数以上の話でオチが見えてしまうんです。パターンが一緒なものが多いんで。こうなると、最後の頁をめくると…という折角の仕掛けが逆効果になってしまいます。読み手に驚きをもたらすはずの所、“なーんだやっぱりね”というガッカリ感になってしまう。それが5話6話と続くと失望感になってしまいます。オチが読めないものもあるんですが、驚きよりも、唐突すぎて無理やりヒネッタ感が上回ってしまうんです。

なんかこう、羽田を飛び立ったぞと思ったら、ストンとおりました。そこは成田空港でした、見たいな違和感。
(´-`).。oO(わけのわからん、たとえダ)

おそらく、連載の為毎月締切がくる時間的制約と、いかに百田尚樹といえども18回も同じ形式で短編を書き続ける難しさに筆が疲れた面があったのではないか?と勝手に想像してしまいます。
でも果敢に挑んだチャレンジ精神は素晴らしい!百田尚樹という作家は絶対に守りに入らないんだなぁと感心するばかりです。でも個人的には、百田尚樹という作家の魅力はアイディアとテクニックではなく、ストーリーメーカーとしての素晴らしさにあると思っています。
紫式部が枕草子にチャレンジした、という所でしょうか
(´-`).。oO(無理くりのたとえダ)
 
次回はまたワクワクストーリーのエンターテイメントを期待します!
読後の感想・おすすめ度⇒★★(彼のチャレンジを見届けたい百田ファンはどうぞ!)

┃ Tag:百田尚樹

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「幸福な生活」百田尚樹
収録内容・母の記憶/夜の訪問者/そっくりさん/おとなしい妻/残りもの/ 豹変/生命保険/痴漢/ブス談義/再会/償い/ビデオレター/ママの魅力/ 淑女協定/深夜の乗客/隠
 
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