== ビジネス・人文 ==

水木しげるの描く原発!『福島原発の闇』

あれ?いつのまに水木しげる先生が福島原発の本を出したんだろう。と思ったらコレは1979年今は無きアサヒグラフにパイプの森の放浪者として掲載された物を単行本化したものでした。なるほど。
文章は原発下請け労働者として働きながら書いたルポ『原発ジプシー』の堀江邦夫。
福島原発の闇 原発下請け労働者の現実福島原発の闇 原発下請け労働者の現実
(2011/08/19)
堀江 邦夫

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70年代の頃のお話ですから、日本が何が何でも原発絶対反対派VS何が何でも原発絶対推進派が鋭く対立していた頃ですね。本書は反対派の立場かから書かれた本ですから、水木しげるの挿絵も、原発は怖いぞ~っというスタンスで描かれています。
そうしたバイアスを差し引いても、本書は非常に興味深いものになっています。

原発と聞くとハイテクの塊みたいなイメージを持ってんですが。そのメインテナンスを行う東電の孫請け、ひ孫請け労働者の現場の泥臭さと過酷さ!被ばくを防ぐ為に配置されるべき放射線管理者が現場に居なかったり、線量計が故障していたりと杜撰な管理状況。そして被ばくして行く現場の労働者。生々しいルポが綴られます。
現場の事故で作業員が負傷しても「東電さんに迷惑がかかるから」と労災申請はもみ消され、労働基準監督局も、半ば公然と見て見ぬふりをして済ませている。

なるほど32年も前からず~とこんな状態だったんですね。今回の原発事故で現場の線量管理の杜撰さや食事も満足に取れていない劣悪な環境をマスコミが糾弾していましたが…。東電にしてみれば、今迄づっとそうやって来た訳で、マスコミに叩かれる迄、それが問題だという認識すらなかったんでしょう。
キミら下請けなんて変わりはいくらでも居るんだから、というスタンス。下請け作業員を資産ではなく単なるコストと見なしてしまう危うさ。この日本におけるリスクマネジメントの危うさについては池上彰×加藤洋子の対談に詳しいのでよかったら。

そんなルポを上回る凄さを感じさせるのが水木しげるのイラストです。本来、原発問題はキチンとしたデータに基づいた冷静な議論が必要で、本題と関係ないところで水木先生の才能を使い、一方的に、おどろおどろしいイメージのみを植え付けようとするのは、ルール違反だと思います。が、その問題はさておき、1つの作品として十分に凄すぎるイラストになってます。配管に無数の目がある絵なんか、大判のアサヒグラフの見開きでこれを見たら、夢でうなされそうな不気味さ!
いうこと聞かない悪い子は、夜中原発が化けて出るよ~っ

という訳で水木しげるファンに是非おすすめの一冊です!

読後の感想・おすすめ度⇒★★★(ゲゲゲの原発)

┃ Tag:水木しげる 福島原発 堀江邦夫

┃ テーマ:読んだ本の紹介 ━ ジャンル:本・雑誌

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