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居酒屋から見たヨーロッパ史!『居酒屋の世界史』

オビのピーターブリューゲルの絵と「居酒屋を覗くとヨーロッパ文明が見える」というコピーに惹かれて思わず買ってしまいました。ブリューゲルの絵を見てると…。そういえばヨーロッパ中世の話にはよく居酒屋のシーンがよく出てくるよなぁ。ロード・オブ・ザ・リングのラストの方でホビット庄に戻ってきた4人も居酒屋でビール飲んでたなぁ…。などいろいろ想像してしまいます。
居酒屋の世界史 (講談社現代新書)居酒屋の世界史 (講談社現代新書)
(2011/08/18)
下田 淳

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さてヨーロッパ中世の居酒屋というのは酒や食事の提供以外にもいろんな機能があったようで。売春、劇場とこの辺までは想像がつきますが、冠婚葬祭の宴会、銀行、郵便局はては裁判所の機能まであったなんてビックリ!なにかというと人々が集う地域のコミュニティーセンターだったんですね。

ヨーロッパとの比較でイスラム圏や中国・韓国・日本の居酒屋事情についても触れられています。一番おどろいたのが、飲酒が禁止されているイスラム圏でもちゃんと居酒屋があったこと!ウマイヤ朝なんか飲んだくれのカリフがいたらしい。

本書の結論として著者は、概ね以下のように述べています。
居酒屋は世界に広く見られるが、都市を離れた農村にも見られるのがヨーロッパの特徴である。これは非ヨーロッパ圏に比べて、農村への貨幣経済が早くから浸透していた為である。
これにより、地域のコミュニティセンターとして多機能性を備えた居酒屋が成立したが、時代が下るにしたがって、銀行、裁判所、エンターテイメント機能が分化して居酒屋から離れて行き(著者は棲み分けと呼ぶ)単に酒を飲む場所になった。「農村への貨幣経済の早くからの浸透」と「空間や時間の棲み分け」がヨーロッパ近代文明飛躍の鍵である。

結論への導入の仕方が非常に丁寧で読みやすく、なかなか楽しく読めました。
欲を言えば…。
ヨーロッパ最盛期の居酒屋の解説で、イギリス・フランス・スペイン・ドイツ・ロシア等が挙げられているのですが、イタリアについて全く触れられていないのが寂しいです。東方貿易や十字軍の絡みもあるでしょうから。
同じくビザンツについては2行程でスルーしてしまい、オスマントルコもイスラム圏の中でのみの捉え方なのですが、東西交流の視点からもう少し詳しく掘り下げてほしかった気がします。

著者も言うように、本書の様な居酒屋の概説書は初めての事だと思いますが、
実に面白いので、今後フォロアーが出てくることを期待したいと思います。

読後の感想・おすすめ度⇒★★★★(歴史・民俗系の人にはオススメ!)

┃ Tag:居酒屋の世界史

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