== 小説・エッセイ ==

現場の生の声に感動!『自衛隊救援活動日誌』

防衛省に“政策補佐官”というポストが4年前に新設されたのだそうです。紙の書類のやり取りだけでは、現場と本省の円滑な意思の疎通に欠ける面がある為、本省のニュアンス・行間を現場に伝え、現場のにおい・雰囲気を本省に伝えるが役割なんだそうで…。踊る大捜査線の室井管理官と青島刑事の間のつなぎ役?みないな感じを持ちました。著者の須藤さんは、そんな政策補佐官としてキャリアでありながら、迷彩服を着て、自衛隊員とともに災害派遣の第一線に立ち、同じ釜の飯ならぬ“缶飯”をともにし、任務に励む傍ら現場の日々を日記に残しました。本書はその貴重な記録です。
自衛隊救援活動日誌  東北地方太平洋地震の現場から自衛隊救援活動日誌  東北地方太平洋地震の現場から
(2011/07/06)
須藤 彰

商品詳細を見る

元々公開を前提にしない日記として書かれているので、淡々とした文章で綴られていますが、行間からは壮絶な現場の様子が伝わってきます。時に任務の範囲を超えて被災者に寄り添いながら、黙々と遺体捜索を行う自衛隊員には、思わず目頭が熱くなります。 著者自身も仙台の自宅が被災した上、娘の中学校、息子の小学校の入学式にも当然出席できず、父親としての苦悩、寂しさを吐露しています。

厳しい環境のなかにあるにも関わらず、著者の文章は決して暗くならず、時にユーモアさえ交えて、常に温もりのあるものになっています。この辺は『困ってるひと』大野更紗さんと相通じるものを感じます。


地震発生5日目の3/16日から44日目の4/24日迄綴られた日記により、今まで知られていなかった救援物資の配送や不足していると言われたガソリン供給の現場の実態が明らかになります。思想地図β2の津田さんのルポでも感じた事ですが、大手メディアって本当に表面的で底の浅いステレオタイプの報道しかしないんだなぁぁと思いました。

中でも考えさせられたのは自治体の縦割りの問題です。
著者は各自治体との折衝にも赴きますが、そこで自治体によって意識や温度に差があることに気づきます。なんでもかんでも自衛隊に丸投げしてくるところもあれば、自分たちで重機をドンドン調達して行くところもある。
ある自治体で、避難所の整理統合を交渉したところ、防災部局・福祉部局・教育部局でたらい回しにされてしまい、ここは一番、首長の決断をと話を持ってゆくと「個別の案件は担当部署に任せている」と逃げられてしまう。何という責任回避!
一方、陸前高田や大槌など幹部職員を中心に四分の一を失い、機能不全に陥っていると報道されていた自治体。実際はマンパワーこそ不足気味だが、若手職員を中心にしがらみに囚われず簡素で迅速な意思決定が行われているという。何という皮肉!

教訓めいた話ばかりでなく、仲間との絆、家族愛、苦悩、希望、誇り、全部が詰まっており、これはもう立派なエンタメノンフといっていいでしょう!
敢えて大げさに言います
本書は国民必読の書です。扶桑社はとっとと重版して拡販に努めるべし!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★(満点!感動した!)

┃ テーマ:読んだ本の紹介 ━ ジャンル:本・雑誌

┗ Trackback:0 ━ 22:06:03 ━ Page top ━…‥・

== Trackback ==

http://sekusi2.blog.fc2.com/tb.php/19-8ee959af
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next