== 小説・エッセイ ==

シリーズ第3弾は装いも新た『おまえさん』宮部みゆき

『ぼんくら』『日暮らし』に続く、井筒平四郎シリーズの第3弾!宮部みゆきの鉄板時代物は、今回単行本と文庫本の同時発売となりました。いきなり文庫もってスゴイですね。
おまえさん(上)おまえさん(上)
(2011/09/22)
宮部 みゆき

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かつて書評家北上次郎をして、吉川英治、司馬遼太郎に続く国民作家というのは、もしかすると宮部みゆきではないか?と言わしめた筆力は今回も健在。読者を、お江戸の市井へとワープさせてくれます!

本シリーズには前段のお話として本所深川ふじぎ草子に初登場する回向院の茂七と、続いてその茂七を主人公にした短編集初ものがたりがあり、初ものがたりの三十数年後のネクストジェネレーションとして、『ぼんくら』のお話がスタートします。初ものがたり迄は短編オムニバス、『ぼんくら』からは、同じく短編集と思わせておいて終盤に、実は連作長編ストーリーだったと分かるニクイ構成でした。

しかし本作ではこれまでの、短編をコアとした構成を捨て去り、はなから長編物として展して行きます。これまでは、時間軸を順に短編として区切りながら進んだストーリー。
今回は、重層的な話が同時パラレルに進んで行きます。後半に弓之助の名探偵コナンばりの謎説きがあり、その後、丸助と間島信之輔のパラレルなモノローグが続き、ラストの緊迫の大捕り物そして大団円となる構成です。

宮部みゆきの時代物といえば短編で舞台は江戸、が定番でした。が『孤宿の人』で架空の藩を舞台にした長編物という新たな領域にチャレンジ!本人が風呂敷をひろげ過ぎて収拾がつかなくなりそうだったと語る様に、力技で見事に描き切った作品でした。これを機に時代物でも長編をどんどん書いて行こうとされているのでしょうか?
私的には短編作品に漂う、なんともいわれぬ濃密さや緊張感が大好きなだけに少々複雑です。長編がよくないという訳では決してないのですが…。
まあ短編や怪異物が好きな方はもう一方の看板シリーズ『三島屋変調百物語』の方をどうぞ、ということかもしれませんね。初期作品では怪異物と捕り物帳が混然としていた物が、二つの異なるシリーズへ分化してきた、というところでしょうか。

この井筒平四郎シリーズの大きな魅力に登場人物のキャラ立ちの良さがあります。しかも回を重ねるごとにどんどん新たなキャラクターが増えてゆき賑やかさを増してゆきます。今回は腕は立つが醜男の同心間島信之輔とその大叔父源右衛門さらには美男子弓之助の兄淳三郎。
初回では子供だった弓之助や三太郎が、次第に大人びてゆく様子や彼ら新キャラの今後の活躍がますます楽しみ!

読み終わったのにもう次回作が待ち遠しい。鉄板シリーズは健在です!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★(今後の展開の妄想も膨らむでしょう)

┃ Tag:宮部みゆき

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「おまえさん」(上・下)宮部みゆき
痒み止めの新薬「王疹膏」を売り出していた瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の同心・平四郎は、将来を嘱望される同心の信之輔と調べに乗り出す。検分にやってきた八丁堀の変わり者“ご隠居”源右衛門はその斬り口が少し前に見つかった身元不明の亡骸と同じだと断言する。両者に通じる因縁とは。『ぼんくら』『日暮らし』に続くシリーズ第3作。 本所深川の同心と、その養子息子の捕物帳。長編の「上下巻」もの...
 
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