== 小説・エッセイ ==

辞書が引きたくなる一冊!『舟を編む』三浦しをん

ユニークな舞台設定の作品で楽しませてくれる三浦しをん。今回の作品は、とある出版社の辞書編集部が舞台と、これまたユニーク!
舟を編む舟を編む
(2011/09/17)
三浦 しをん

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国語辞書の編纂という、世間一般から見れば地味すぎて誰も気に留めないような世界に注目して、小説の舞台にしたという着眼点が、完全にアイディア賞もので、設定自体が既にして十分面白いのであります。
新しい言葉に出会う度に、常に携行している「用例採集カード」に書き留めてゆくという、ちょっと変わった面々の織りなす物語。三浦しをん十八番の、個性的キャラクターの青春群像テイストもたっぷり楽しめます。

本作は、十数年という時間経過の中での、未熟な若者の成長物語でもあり、荒木公平→馬締光也→岸辺みどりと、世代を超えて引き継がれて行く大河物語でもあります。他にもチャラ男の西岡や老学者松本先生等々個性的なキャラ満載ですので読んで楽しいこと請け合いです!

また、辞書編纂の為に言葉と格闘して行く編集部員の真摯な態度には、思わずジーンと来るものがあり、特に出版業界の人間が読むと、ツボを突かれる言葉が沢山出てきます。(勿論、一般の人にとっても感動ものですよ)泣かせどころもシッカリ押さえてあるのもニクイところであります。

物語の中で、特にナルホドと思った点。海外では、オックスフォード英語大辞典にしろ康煕字典にしろ、時の権力者が主導して編纂することが多いのに対して日本では公的機関が主導して編んだ例は皆無であるという事実。物語の中で老学者の松本先生はこれでよかったのだと述べています。すなわち、公金が投入されれば、内容への介入を招き、生きた思いを伝えるツールではなく、権威づげの道具として言葉が位置づけられていまう恐れがある。よって資金が乏しくとも国家ではなく出版社がこつこつ辞書を編纂する現状に誇りを持とう…と。
なんだか書棚の中の新明解国語辞典が一層いとおしくなりました。

ともかくも、間違いなく三浦しをんの代表作の一つになる作品です。
本書を読んだ後、きっと辞書を引いてしまう事請け合いです!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★(満点!おすすめです)

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