== ビジネス・人文 ==

この団地愛を見よ! 『団地団』 大山顕×佐藤大× 速水健朗

高度成長華やかりし頃、家族を持ち始めた都市で働く団塊の世代へ住宅を供給すべく、日本住宅公団によって東京や大阪近郊に次々と作られていった団地。私自身は一度も団地に暮らしたことはないのですが、団地ってなんか無機質で規格大量生産的で冷たいイメージしかもっていなかったのですが…。
本書は、そんな団地に無限の愛情をお持ちのお3方“団地団”による、とっても愉快な団地をめぐる映画論です。


団地団 ~ベランダから見渡す映画論~団地団 ~ベランダから見渡す映画論~
(2012/01/19)
大山顕、佐藤大 他

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記憶が不確かなのですが、たしか堺屋太一が団地について、
団塊の世代が住んだ団地や郊外住宅地は結局、地域コミュニティーにはならず、かつての“ムラの恥”に替わる“団地の恥”などという言葉は生まれなかった。代わりに会社の恥、職場の恥といった職縁コミュニティーが形成されて行き、結果、団地はふるさととして認識されにくく、我がふるさとに日が落ちてという歌は多数存在するが、うちの団地に日が落ちてという歌は生まれていない…
てな事を言っていた様に覚えているのですが。

私は職縁社会と居住機能だけの団地と言う問題以外にも、団地については、鉄筋コンクリートの耐用年数の短さの問題があるのではないか?とも思っています。コンクリートは安価で丈夫なのですが僅か30年程度で老朽化して行き50年を過ぎるとボロボロになってゆくという、木や石といった自然素材に比較した圧倒的耐用年数の短さ!。本書でも初期の団地取り壊されている事に触れられていますが、これでは歴史文化の蓄積がなされない右→ゆえに故郷としての認識が育たないのではないか?とも思っています。最近の不燃化木材による大規模建築が実現して行けば、将来、団地認識にも変化が生まれるのではないのでしょうか?(築200年の重文団地とか…)

そうはいっても団地も誕生以来60年近くの歴史を重ねてくると、コミュニティーとはなれなくとも、時々の生活の“場”としての積み重ねはあったでしょうから、結果、今やノスタルジーの対象として成立し始め、団地のプラモデルなんかも発売されているようです!これはあれですね、私らなんかが大阪城や金閣寺のプラモを作った感覚に近いもんがあるんでしょうねッ。
だったらもっとマニアックに本書でも取り上げられている『大蔵住宅』とか『都営西台アパート』みたいな特定の団地のプラモをシリーズを出したら以外にヒットするんじゃないかと…。少なくとも団地団の三人は絶対買うよw!


そんな団地団の三人ですが
団地の写真を撮りつ続け『団地の研究』という本を出している大山さんの語る、ウルトラマンにおける団地の登場シーンは、目から鱗ものの新鮮さがあります。自慢じゃないけど私はウルトラQの初回から円谷ものはリアルタイムで見てきたオジサンなのですが、そうか『ゴモラ』ってそうだったかぁと改めて感心etc…。
佐藤さんの語るアニメの話ではノイタミナ枠の『放浪息子』に描かれる世田谷の大蔵住宅の話が面白く、私は見てないアニメなのですが、これはちょっと借りてきて観ようかなと思う次第で。
この二人の団地マニアを仕切るのが、『ラーメンと愛国』を書き、最近では津田大介さんのメールマガジンでもコーナーを担当する速水さんです。


私が一番印象に残ったところは、あの名作『家族ゲーム』のラストシーンの解釈で、これは『しとやかな獣』(団地団によると団地映画の最高傑作)へのオマージュだったという事。
いやー!30年ブリにモヤモヤを解いてもらった様で感動しましたよぉ(詳しくは本書をお読み下さい!)


なんだかんだで、勿論『団地妻昼下がりの情事』を含め
色んな団地映画が見たくなってしまう一冊なのでありました。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★(レンタルビデオ店に行きたくなる一冊です) 

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