== ビジネス・人文 ==

傑作Nスペを活字で読む               『ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか』

全4回で放送されたNHKスペシャルの傑作「ヒューマン なぜ人間になれたのか」を書籍化したものです。番組も見ごたえがありましたが本書もなかなか読みごたえがあります。

ヒューマン  なぜヒトは人間になれたのかヒューマン なぜヒトは人間になれたのか
(2012/01/20)
NHKスペシャル取材班

商品詳細を見る
人間が持つ、チンパンジーとは違う人としての心が、どの様に生まれ進化してきたかを探る意欲的Nスペ作品。
活字版では、なぜその様な疑問を抱いたのか、その疑問を解決するためにどのようにして、放送のインタビューや現場の撮影シーンにたどり着いたのか、という取材過程を踏まえた構成になっています。
内容の結論は放送内容と一緒なのですが、取材班が世界中を東奔西走する過程は、まるでミステリーの謎解きの様でもあり、放送内容を超えた深見を感じる一冊です。


人間に最も近い関係である類人猿のチンパンジーは、相手の要求に答える形で、別の個体を助けることはできるが、お互いに助け合うことができない。
対して
ホモサピエンスは400万年から200万年前に森を離れた時に、捕食動物からのサバイバルの為に、協力関係を築く「分かち合う心」を獲得し、人間としての心の進化が始まって行く…。

私が特に印象深かったのは(放送とも共通するのですが)以下の2点。

人間には自動的に他者に共感する能力がある。たとえば映画の登場人物が殴られると、自分が殴られたわけでもないのに不快感を感じる、という様な…。
被験者に電気ショックを受ける他人を見せ、その脳活動を測定する実験を行うと、不快感や嫌悪感が関わる領域が強く活動をするのだが…
被験者に、電気ショックを受けているのは、利己的で不公正な人格という情報をあたえると、不快感は全く消える上に、快感をつかさどる側坐核という部位が活性化すること。つまり我々の脳は不公正な人間の痛みを見ると快感を感じてしまう!という事実。
社会的動物である我々人間は、協力関係を築く為に他人へ共感する心を持つ一方、非協力的人間への処罰を快感と感じる心を持っており、2つの心の間で常に揺れ動く存在であるらしいのですね。

もう一つは弓矢以前に存在した最古の飛び道具『投擲具』の存在。
直接手に持つのではなく、棒の先に取り付けたフックに槍を引っかけ、棒を投げるように前にふりだしテコの原理で槍を的目掛けて飛ばすという物。言葉では表現しずらいので、ご存じない方は⇒こちらの映像をどうぞ(後半16:30からご覧あれ)
自然界では、離れた所から獲物を狙って物を当てるという行為は極めて例外的で、人間以外ではテッポウオぐらいと言うからビックリ!してみると人間とは、的当てをするサルということか?
もともと寒冷化という環境の変化へ対応する為の狩猟方法の革新であった投擲具を、人間は、集団を乱すフリーライダーを罰する道具として使うことで、規律を強化し、コミュニティのサイズをそれまでの150~200人規模から数千人の規模にまで拡大させてゆく。この集団の拡大が文明の発達をもたらしたのだそうで…知りませんでしたぁ。


ほかにも農耕の開始は集団間の対立回避の為の贈り物の為、という説や究極の交換手段お金の発明による欲望の暴走などなど興味深いお話が満載です。

今なお、我々の脳と心は進化の途上にあり、現代は歴史上最も速い速度で、最低7%のヒトゲノムが、進化を続けているという報告もある、というのは衝撃的です。もしや『ジェノサイド』の様なホモサピエンスを超えた存在の出現も近いかも…

番組に興味を覚えた方は、読んで絶対損はしない一冊です!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★ (もちろん番組を見てなくても十分楽しめる一冊) 

┃ テーマ:最近読んだ本 ━ ジャンル:本・雑誌

┗ Trackback:0 ━ 17:36:39 ━ Page top ━…‥・

== Trackback ==

http://sekusi2.blog.fc2.com/tb.php/40-67f42d41
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next