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言論空間の構造を解明かす傑作『当事者の時代』佐々木俊尚

キュレーションの時代 電子書籍の衝撃』 などホットな社会問題について、ロジカル且つ読者を惹きつける話の構成と、わかり易い言葉で著作を発表している佐々木俊尚氏の最新作。本書も”目からウロコ“と“知的興奮”が詰まった傑作です!

「当事者」の時代 (光文社新書)「当事者」の時代 (光文社新書)
(2012/03/16)
佐々木 俊尚

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本書では、現在の日本の言論空間が抱える問題について、その構造と歴史的経緯が、わかり易く且つ興味深く、解き明かされて行きます。

メディア言論空間の現状モデルを説明するにあたって『夜回り共同体』と『マイノリティ憑依』という2つのキーワードを使って、全体像が解明されて行くのですが…。

『夜回り共同体』とは、悪名高き「記者会見共同体」というオモテ向きの広場型共同体に対する、隠されたウラ側のもう一つの共同体として存在するものであり。
検事や検察幹部と記者個人の間の一対一の関係により形成され、禅問答の様なやり取りや、表情や空気といった、濃密なハイコンテキストに包まれた空間。
具体例として取り上げられる著者の毎日新聞記者時代の経験談は、そこまで書いて良いのか?と思う位の迫力でまさにリアル“クライマーズハイ”といった趣です。
(本文中でも例えとして取り上げられる横山秀夫のクライマーズハイ、ご存じの方は旅館に忍び込んだ佐山が事故調査官に圧力隔壁をブツけた後“サツ官ならイエスです”とデスクの悠木に電話で報告をする例の場面を思い起こして下さいっ!)

当局と記者はオモテとウラの二重の共同体構造により成り立っている…という訳です。

もう一つの『マイノリティ憑依』とは、自己を被害者や弱者の立場に同化させることで、被害者・弱者の視点から社会全体を見下ろし、自分以外を加害者・強者として断罪してしまうような言論状況を示します。
メディアが取り上げる“市民”がサイレントマジョリティとしての庶民ではなく、ノイジィマイノリティであるプロの市民運動家のそれである背景にこの『マイノリティ憑依』があると…。
このマイノリティ憑依が生まれた原因について、著者は終戦後の混乱期からの戦後メディア言論の変遷と歴史的経緯の中から解き明かしてゆきます。
ここまでわかり易く且つ明快に、戦後言論の問題の歴史的変遷を表したものは、他にはないのではないか?と思わせる位、知的に興奮させられる部分であり、本書の白眉と言ってもいいでしょう。


小田実の言説については、私はかなり誤解していたんだなぁと知らされましたし、「7・7告発」についても恥ずかしながら初めて知りました。
なにより、市民運動寄りのメディア報道については“どうせ全共闘あがりの記者が大勢いるから左寄りなんだろっ”ぐらいにしか考えてこなかったのですが、そんな単純な構造ではなかったというのは驚きでした。特に記者が市民運動を嫌っている!という実態は衝撃的でありました。


終章では、マイノリティ憑依というアウトサイドからの視点と夜回り共同体というインサイドからの視点という二つに断絶し乖離した視点を超えて、いかに当事者としての立ち位置を取り戻すのか?という重い課題が提示されます。結論は我々の中にあるようですが…。

新書版にしては472頁という結構重たいボリュームですが、ドラマティックなプロローグから始まり、飽きさせない展開になっているので、ぐんぐん読み進められると思います。
ぜひ多くの人に読んで欲しいと思う一冊です!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★ (今のところ今年の新書№1)  

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まとめtyaiました【言論空間の構造を解明かす傑作『当事者の時代』佐々木俊尚】
『キュレーションの時代 』や『電子書籍の衝撃』
 
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