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== ビジネス・人文 ==

たまには少し硬めの本でも!『定本 想像の共同体』ベネディクト・アンダーソン

時々題名を見かけたり、ニアミスを繰り返すのに、結局手に取っていない本ってありませんか?ありますよねぇ…。
本書の初版日本語訳が出版された1980年代後半は、私が学生から社会人となってモラトリアムの世界からリアルワールドの企業戦士へ出征していった時代であり、ちょうどすれ違いの感じという訳で。
近年、ネット上でも題名を見かけるので気にはなっていたのですが、どうやら最近の大学ではかなりポピュラーな教科書になっているらしい、ということで、少し頑張って読んでみました!


日本語訳の初版が1987年に2007年に増補版が出ています


定本想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)定本想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)
(2007/07/31)
ベネディクト・アンダーソン

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ナショナリズムというと、司馬遼太郎は、誰でも故郷を悪しざまに罵られると心に湧き上がる素朴な感情ってな言い方をされていたと記憶しています。さらに小林よしのりは、ゴー宣の中で、そういう郷土愛はパトリオティズムであり実感を伴うものだが、ナショナリズムは理で捉えられるもの、しかしパトリなきショナリズムはいかがわしいものになってしまうと喝破していました。

ゴー宣にも引用されていた本書は、ナショナリズムの直接的ルーツを自然な民族感情に求めるのではなく、それは近代において発明された、文化的人造物であり、想像されたものである、という考え方をとっています

アンダーソンが、近代国民の登場の舞台を準備したものとして第一にあげるのが、出版資本主義(プリントキャピタリズム)による俗語化の推進(ラテン語からの)。

18世紀後半に新大陸で誕生した国家の背景として
16世紀以来のスペイン統治下の行政単位が自足的性格を持つようになった結果、これらの行政単位の中を遍歴してゆくクレオール役人(中世の宗教的巡礼になぞらえて、新しい巡礼の旅と呼んでいる)と地方ごとの印刷業者が発行した新聞の存在を指摘。アンダーソンは新大陸での一連の動きをクレオールナショナリズムと呼んでいる。


クレオールナショナリズムでは言語が争点とはならなかったのに対して、旧世界ヨーロッパでは辞書編纂革命等を通して国民的出版語が生まれてゆき、これを基盤として想像の共同体としての国民が生まれてゆく。
しかしこの国民とは特許権の設定できない発明であり、フランス革命もアメリカ独立運動も印刷された言葉によって、1つのモデルとなり、海賊版を作りうるものとなった。(アンダーソンは俗語ナショナリズムあるいは民衆的ナショナリズムと呼ぶ)


民衆的ナショナリズムの勃興は、多言語領土をもつハプスブルグ帝国やロシア帝国、大英帝国などへ難問を突き付けることとなり、排除される危機に直面した支配集団の応戦として公定ナショナリズムシートンワトソンが東欧について呼んだがアンダーソンはより普遍化して捉えている)が生まれる。これによりスロバキア人がマジャール化されインド人はイギリス化され、朝鮮人は日本人化されるという、矛盾が世界規模で引き起こされた

最後に植民地の学校教育と行政官の中で誕生した二重言語のインテリゲンチアが自分たちを、土民(ネイティヴズ)から同国人(ナショナルズ)へ認識を変えることで、クレオールナショナリズム、俗語ナショナリズム、公定ナショナリズムがさまざまな組み合わせでコピーされ、世界中に拡散してゆくこととなった。

ざっくりとした内容はこんな感じです。
ざっくりしすぎて幾つかポイントを外してるかもしれませんが、そも、社会学を専攻したわけでもない私のレベルでは、この辺が精いっぱい…。詳しくは本書に譲りますw


改訂版で付け加えられた付論の最終章では本書が各国語で翻訳されて行く状況が語られるのですが…
既にスウェーデン語版があるのに人口の少ないノルウェー語版(ノルウェー人はスウェーデン語が読める)が要るのかと問うと“我々自身の国語で読むのがもちろん最高だ”と返ってきたり、韓国や中国で海賊版が出版されたりと、本書がまさに各国のナショナリズムに受容されて行く様がなかなか面白いです。

最初に英語以外に翻訳されたのが日本語版だそうなのですが、最初の出版社リブロポートについて『この出版社の所有者、堤氏は、大実業家の息子で、かれは父親に逆らって詩人、作家の途を選択した人物であるが…(中略)…かれは編集者にもうけることは考えないでよい、良い本を出せばよい、と言った。…この出版社は1990年代に破綻した。』と言うくだりがあります。
今は亡きセゾン文化とリブロポートのことが頭をよぎりジ~ンと来てしまいました。まったくの余談ではありますが…


さて、本書の刊行後から四半世紀が過ぎた現在は爆発的に普及したインターネットとグローバリズムの進展により、ナショナリズムは衰弱するのかと思いきや、現実に起こったことは真逆であった!これについては→池田信夫氏のBlogをお読みください。
今後はサイバースペース上でのナショナリズムの展開と行く末が気になるところであります。


本書は、人文書の翻訳書に不可避的なややこしい表現はありますが、アンダーソン自身が述べているように一般的な言葉で書かれているので、取り立てて難解ということはありません。
ちょっと学生気分に戻ってみたい大人の方におすすめの一冊です。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★(たまには少し硬めの本でも…)  

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