== スポンサー広告 ==

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
┗ --:--:-- ━ Page top ━…‥・

== 小説・エッセイ ==

ジョーカー・ゲーム最新作!『パラダイス・ロスト』 柳広司

日本陸軍内に“魔王”結城中佐の手で秘かに設立された諜報組織“D機関”をめぐるジョーカー・ゲームシリーズの第三弾!

パラダイス・ロストパラダイス・ロスト
(2012/03/24)
柳 広司

商品詳細を見る
第1作が支邦事変が始まる昭和12年頃からスタートし、前作ダブルジョーカーは真珠湾攻撃勃発の昭和16年12月のアメリカ西海岸で終わっていました。
第3弾の本作は時間が数か月巻き戻されて、欧州でフランスがヒトラーに降伏した後、日本の対米開戦直前の緊迫した時期が舞台です。


本シリーズの魅力は何と言っても、頭脳戦による騙し合いを読み進めるうちに、我々読者が鮮やかに騙されてしまうところでしょう。散りばめられた話の伏線から、いやがうえにもストーリー展開を想像させられる様に仕向けられるが、実は伏線自体がギミックで、鮮やかに裏切られてしまう!
カタルシスとは正にこの事!という快感が味わえます。


佐藤優をして『日本にインテリジェント・ミステリーという新分野を開拓した』『秋山俊少将(陸軍中野学校の生みの親)の精神が憑依している』とまで言わしめた緻密なストーリー構成は本作でも健在です。
シリーズものはややもすると、回を重ねるにつれてパワーダウンてゆく作品が少なくないですが、本作は逆に1作ごとに作品に深みがまし研ぎ澄まされて行く感があります。

短編の中に濃密に圧縮されたストーリーの切れ味は、宮部みゆき作品にも劣らない、ほれぼれするような完成度です。

私が最も興奮したのは収録第3話の『追跡』。
タイムズ紙特派員プライスがD機関の取材調査を開始、ついに結城中佐の幼少期を解き明かす……!?
おっとこの先は本書を読んでのお楽しみw

次回作はいよいよパールハーバー以降の戦時下へ突入となるのでしょうか?
読み終えた途端に次が早く読みたくなる傑作ミステリーでありました。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★ (今のところ今年のエンタメ小説№1)   

┃ テーマ:読んだ本の紹介 ━ ジャンル:本・雑誌

┗ Trackback:0 ━ 22:19:56 ━ Page top ━…‥・

== 小説・エッセイ ==

シリーズ18弾!『逆説の日本史18幕末年代史編Ⅰ』井沢元彦

日本の歴史を普段と少し違った角度から見せてくれる人気シリーズの第十八弾。
オオクニヌシの出雲神話から始まったシリーズもいよいよ佳境の幕末へ突入です!


逆説の日本史 18 幕末年代史編1逆説の日本史 18 幕末年代史編1
(2012/03/12)
井沢 元彦

商品詳細を見る
誰もがなんとなく知ったつもりでいる日本史上の出来事を、角度を変えて見てみると、全く違った世界観が開けてくる事を教えてくれるのが、このシリーズの醍醐味ですよね。
今回のお話のテーマの一つは黒船来航。
日本人が何となく思っている“ある日突然ペリーの艦隊が浦賀沖に現れた”というのは大まちがいだということで…。


ペリー来航の16年前に民間使節として商船モリソン号が来航しているというのは、何となくモリソン号事件という名前だけ覚えていたのですが、このモリソン号って江戸湾に入って浦賀沖に来ていたのですね!知りませんでした。なおかつ野次馬の漁船が周りに集まってきたので、モリソン号側は甲板に200人近い日本人をあげ、スイートワインとクッキーをふるまっていたのだそうな。
物見高いは江戸の常とは申せ当時の日本人の好奇心には、な
んだか笑ってしまいます。しかもこの時、来航目的を示した非公式文書としての覚書が日本側に渡されていたらしい。

それから9年後に軍艦2隻(蒸気船ではないが)で東インド艦隊の司令官ジェームズ・ビットルがやはり浦賀沖に来航し、公式文書を日本側へ渡しているので、これが日米の国家間交渉のファーストコンタクトということになるらしい。

そしてその7年後に蒸気船を含む軍艦4隻でペリーが浦賀にやってくる訳で…。
ちなみにペリーさんてアドミラル(提督)ではなくてコモデア(代将)だったんですね。だからペリー提督とかいうのは間違いなんですね、初めて知りましたぁ。


して見ると、江戸湾浦賀沖にはアメリカがやってきたのはペリーが3度目で。その間オランダ側からは開国を進める忠告があり、さらにはペリーが日本に向かう旨の事前情報も得ていたのに、その間の幕府のとった行動とは、ひとまず課題を先送りにし結局何もしないということだった…。でペリーの恫喝に追い込まれて泥縄式に開国をしてしまう。

この問題が発生してもとりあえずは何もしない⇒追い込まれてからあわてて泥縄式に対応
という行動パターンは、現在の霞が関もそっくりですよね。なんか口あんぐりです。


しかもアメリカ側にとっては、下手に出ると、言葉で誤魔化したり時には嘘をついて、のらりくらりと逃げるけれど、強気に脅せば安易に折れてくる、というのが対日交渉での最初の教訓であり、現在も当局の対日担当者であればこの歴史を当然学ぶ事になっていると聞くと、なんだか気分が暗くなってしまいます。

さて、ほかにも教科書で、不利な銀の交換レートを結ばされて物価が高騰し庶民を苦しめたなんて1行の記述で終わっている件について、わかりやすくそのカラクリと意義についての説明があり、必読です。
事実上この問題で幕府はチェックメイトに追い込まれたんですね!


さすがにテッパンシリーズだけあって、今回も読みどころ満載です
特に今回は幕末がお好きな方(ビビる大木さんとか)にもおすすめです!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★ (相変わらずツボを外さない手堅い面白さ!)  

┃ テーマ:最近読んだ本 ━ ジャンル:本・雑誌

┗ Trackback:0 ━ 22:17:04 ━ Page top ━…‥・

== 小説・エッセイ ==

これぞ古処戦争小説『ニンジアンエ』古処誠二

戦況が膠着状態にあった1943年ビルマ戦線。航空戦力の消耗から英軍側に制空権を握られつつある日本軍中の従軍記者が直面する物語。

ニンジアンエニンジアンエ
(2011/11/25)
古処 誠二

商品詳細を見る
著者の古処さんは1970年生まれの戦無世代にして元航空自衛官という経歴で、これまでも数々の戦争小説を生み出して来ています。
自衛官という“もののふ”としての経験からなのか、古処さんの戦争を描く視点は、胸に迫るシリアスさがあり古処戦争小説ともいえる小説群が誕生しています。


文壇のお歴々の中には、大岡昇平と比較して、実際の戦争はこんなものではないという趣旨の指摘をされる方もいるのですが、戦場のディテールなど、実際に従軍した者でしかわからないのではないでしょうか?
だとすると戦争を知らない世代が、戦争を描くことに意味はないのでしょうか?
古処作品で描かれるのは、戦場という極限の状況下において浮かび上がってくる“人間性の深部”であり、戦場は舞台装置であり(とは言え丹念に資料に当たっていることはうかがえる)戦場のディテールがテーマではない以上、いきなり大岡昇平と比較しては元も子もないお話だと思うのです。


本作では、我々になじみの薄い“宣撫班”という現地住民の世論工作を任務とする部隊が登場し、潜入してきた英国軍の討伐部隊へ合流し戦闘に参加する状況が描かれます。戦場での人間の生々しい描写は迫真と呼ぶに相応しい!
主人公の従軍記者、美濃部が直面する大義とジャーナリズムの矛盾については、オビにもコメントを寄せている津田大介さんの書評がすばらしいので、そちらをお読み下さい。


津田さんが言うように有事を伝える報道の在り方の問題は、まさに今日的問題であり、その意味で本作はまさに今の日本を照射している作品といえると思います。

私が感じたことは、戦争の様な、人間が自己の命を危険にさらす事も厭わない利他的行動に出るときには、それを駆り立てる正義(あるいは大義)という物語が必要なのであり、作中のビルマ人モンセンも英軍のコーンウェル中尉も形は違えど、正義に駆り立てられ、且つそれを欲していたのではないか?それは人間の業ともいうべきものであり、我々誰もが心に持つ要求である以上、ジャーナリズムの客観性という問題以前に、この強烈な需要に対して報道は正義を供給してしまう必然性があるのではないか?ということです。

3.11から間もなく一年。舞台は70年前の戦場ですが、震災後の現状を少し違った視点から考える上でも、今読んで欲しい一冊です。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★(インパール作戦前夜のピルマの状況が目に迫る)

┃ テーマ:最近読んだ本 ━ ジャンル:本・雑誌

┗ Trackback:0 ━ 22:52:51 ━ Page top ━…‥・

== 小説・エッセイ ==

気分は少女コミック!?『ピエタ』大島真寿美

18世紀ヴェネツィア共和国末期を舞台とする女性群像劇。
題名のピエタは孤児院にして女子音楽学校であった施設の名前であり、当時ここで少女達に音楽を教えていたアントニオ・ヴィヴァルディと彼の音楽がストーリーの重要な要素の一つとなっています

ピエタピエタ
(2011/02/09)
大島真寿美

商品詳細を見る

主人公エミーリアが体験する、ヴィヴァルディの残したある楽譜を探す途中での、様々な人達との出会いを描いた物語です。
18世紀イタリアという、時代の違う外国を舞台にしているためか、文章が外国文学の翻訳調に仕立てられており、著者名を伏せられていたら、ガイブンだと勘違いしそうです!
また登場人物のセリフが、昭和の小津映画の中の原節子のようなお上品さであり、加えて主要人物がほとんど女性である事から、なんだか萩尾望都の少女コミックを読んでいる様な気分です。特に高級娼婦“クラウディアさん”のカッコよさが出色で、これはタカラズカ的な魅力とでもいいましょうか…。

という訳で始めの3分の1位迄は、私のようなオジサンがこんな世界にお邪魔したりして、場違いだったかな?と思いながら読んでいましたが、真ん中当たりからはストーリーに引き込まれて行きました。
始めの方はヴェネツィア独特の風景の描写が少ないので、食い足りなさがあったのですが、途中から運河やコンドラ、カーニヴァル等々の描写がふんだんに織り込まれ塩野七生『海の都の物語』を彷彿させます。
本書の時代背景をより詳しく知りたい方は“『続海の都の物語』第13話ヴィヴァルディの世紀”をお読み下さい。

ストーリーの途中やラストにヴィヴァルディの代表作L'estro Armonico(調和の霊感)が出てくるのですが、時代から忘れ去られ行くこの曲を中庭で合奏するラストシーンは、とても儚く素敵です!

実は本書を読むきっかけはkyon2の書評なんですが、ストーリー終盤でコンドラの上で歌われるが感動的で

“かつて娘だった全ての人に贈りたいような言葉。ヴェネツィアのゴンドラに揺られながら夜空を見上げ小さな声で自分のために唄ってあげたい、ささやかな希望の言葉だった。”

と言うkyon2の言葉がピッタリで、これを帯に入れればもっと売れるんじゃないか?ターゲットはズバリアラフォー女性!…なんて生臭いお話は冗談としてw

特に女性はハマル方が多いと思います!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★(ヴィヴァルディの好きな方にもオススメです)

┃ テーマ:読んだ本の紹介 ━ ジャンル:本・雑誌

┗ Trackback:0 ━ 23:13:57 ━ Page top ━…‥・

== 小説・エッセイ ==

これぞ海外ミステリ!『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン

このミスや文春ミスの海外編で1位をとった評判の作品。私としては久々にハヤカワのポケミスを読むこととなりました。著者の名前は全く知らなかったのですが、それもそのはず本作が処女作なのだそうです
二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
(2011/03/10)
デイヴィッド・ゴードン

商品詳細を見る

海外ミステリーの楽しみの一つとして、国内小説ではちょっと外連味が強すぎて成立しないような設定やシチュエーションが成り立つ事があると思います。同じセリフや場面設定が、ニューヨークならすんなりと馴染んでも、東京の新宿にすると浮きまくりになっちゃう様な感じ…。
私の英語力では原書を楽しむことはできないのですが、翻訳を通して読む異文化の世界は“ある種のネヴァーネヴァーランドへの憧れのような物”をもたらしてくれます。

本書もまたニューヨーク、マンハッタン島の川向うクイーンズ地区を中心にアメリカンな風情を感じられるお話です。
ポルノ小説や日本でいうラノベを書いて食いつないでいる中年作家が、服役中の連続殺人犯から告白本の執筆を依頼されるというぶっ飛んだ設定もアメリカならあり得るお話!これを書いてる最中も、アメリカの連続殺人犯が書いた地図から大量の人骨が見つかったというニュースをTVでやっております…恐ろしい。
殺人犯からの告白本依頼というのも、伝記や回顧録がジャンルとしてなりったているアメリカならではのお話ですね。

さてストーリーの展開ですが、前半は売れない作家の主人公のダメダメさを中心にクーンズやマンハッタンの情景を交えつつ、アメリカ文壇の様子も垣間見えるスローテンポで進行しますが、後半に入ると一気にスリリング且つスピーディーな展開でワクワクさせられます。

************<以下ネタバレご注意!>************




売春を重ねるアバズレの中年女が息子を救うために弁護士になって、息子の弁護につくというのは、日本的にはうっそだろ~???と思うのですが。
よくよく考えるとアメリカの弁護士資格は日本におけるものと違い、必ずしもエリートを意味するものではないらしいですね。
ロースクルには日本の高校レベルの学力があれば入学できるみたいですし、卒業すればともかくも資格はもらえる…。ただしそれで飯を食えるかどうかは別のお話で、あとは能力次第という世界の様ですね。入り口は思いっきり広く、あとは自由競争で適者生存というのもアメリカらしい。
そういえば軍人さんの中にも弁護士資格を持ってる人が結構いて、GHQが進駐軍人の中から弁護士資格をもつ者を集めて、日本国憲法の草案を作れ!それも1週間で!と無茶ブリをして、召集されたメンバーがビビリまくったなんて話もありましたね。余談でした。


以上ネタバレ終わります。

************************************

そんなこんなで日本では無理目のスケール感やスリリングさが味わえる
海外ミステリーならではの面白さが詰まった一冊です!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★(翻訳ものを余り読まない方にもオススメです)

┃ テーマ:最近読んだ本 ━ ジャンル:本・雑誌

┗ Trackback:0 ━ 21:54:25 ━ Page top ━…‥・
New « ┃ Top ┃ » Old
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。