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== 小説・エッセイ ==

50年ぶりの復刊!『近代日本の文学史』伊藤整

昭和33年(1958年)に光文社のカッパブックスの一冊として刊行されて以来、ながらく絶版状態だったものが、実に50年ぶりの復刊!となりました。今度の出版元は、知る人ぞ知る、吉祥寺で島田潤一郎氏がたった一人で切り盛りされている小さな出版社、夏葉社です。

近代日本の文学史近代日本の文学史
(2012/04/20)
伊藤 整

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伊藤整&カッパブックスといえば『文学入門』の方はタイトルだけは知っていたのですが(読んだことありません、恥ずかしながら…)同じカッパブックスでこのような本が出版されたいたとは全く知りませんでした。

本書を読んだ印象として、明治期迄を扱った第9章までと大正期以降の10~16章とで、ややニュアンスの違いを感じました

前半部分については著名な翻訳家でもであった著者が、英文雑誌JapanQuarterlyに日本文学の紹介として連載したものを日本人読者向けに書き改めたものである為、かえって現代の我々には非常にわかり易い文章になっています。
江戸期から始まり、幕末明治の混乱期、坪内逍遥や二葉亭四迷の黎明期を経て漱石、鴎外の時代へと向かう内容は、実に面白く、文学史というより、歴史物語として十分楽しめます。
単に各人の作家その人についてだけでなく互いに受けた影響について、時間軸の縦糸と同時代人の交流を横糸として織りなす文壇模様がくっきりと浮かびあがってくるサマには、ある種のワクワク感さえ覚えます。


山口昌男のいうところの“知のネットワーク”のような、明治期の文士のネットワークが俯瞰できるわけです

さて後半部分については、帯の背にある“文学の教科書”というコメントがぴったりの内容。
作家と作品について淡々と網羅的に述べる傾向が強まり、文学史のインデックスとしての様相を示します。


これは、大正期以降の大衆文化の勃興による作家の大量出現のみならず、著者自身が序文で述べている様に、本書執筆時点では大正期以降の作品への評価が未だ不安定であった為、独断を避け網羅的方法をとった、という事らしい。
したがって、正直言って、前半と違い物語として読み進めるのは少々苦しい内容ではあります。


しかし、斜め読みでも、自分の知らなかった作家や作品に巡り合える楽しさは、味わえます。
私の場合、横光利一についてほとんど何も知らないことに気づかされたので、今度彼の『機械』を読んでみようと思います。
また、戦前の文学というと、高校あたりの日本史教科書の刷り込みがきいているので、例えば…
幸田露伴=紅露時代=明治の人みたいな紋切型名的認識しか持ってなかったのですが、幸田露伴って晩年の傑作と言われる『連環記』という作品を発表したのは、昭和15年!だったんですねぇ。ビックリ!
というような意外な発見もあるはずです。


本書が長い間復刊されなかったことについて、巻末で荒川洋治さんが、記述が1958年で終わっている為であろうが、実質的文学史がここでひとまず終わったと見る人には十分であろう、と述べていますが、全く同感です。
1960年代以降になると、純文学、中間小説、大衆小説といったジャンル事体が溶解して行き、近代というより現代と認識されると思うので…。


ともあれ、こうした名著を復刊された夏葉社さんのセンスと勇気に拍手を送りたいと思います!パチパチパチ
読後の感想・おすすめ度⇒★★★  (文学フリマを覗くような人は 必携!) 

┃ Tag:近代日本の文学史

┃ テーマ:読んだ本の紹介 ━ ジャンル:本・雑誌

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== ビジネス・人文 ==

たまには少し硬めの本でも!『定本 想像の共同体』ベネディクト・アンダーソン

時々題名を見かけたり、ニアミスを繰り返すのに、結局手に取っていない本ってありませんか?ありますよねぇ…。
本書の初版日本語訳が出版された1980年代後半は、私が学生から社会人となってモラトリアムの世界からリアルワールドの企業戦士へ出征していった時代であり、ちょうどすれ違いの感じという訳で。
近年、ネット上でも題名を見かけるので気にはなっていたのですが、どうやら最近の大学ではかなりポピュラーな教科書になっているらしい、ということで、少し頑張って読んでみました!


日本語訳の初版が1987年に2007年に増補版が出ています


定本想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)定本想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)
(2007/07/31)
ベネディクト・アンダーソン

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ナショナリズムというと、司馬遼太郎は、誰でも故郷を悪しざまに罵られると心に湧き上がる素朴な感情ってな言い方をされていたと記憶しています。さらに小林よしのりは、ゴー宣の中で、そういう郷土愛はパトリオティズムであり実感を伴うものだが、ナショナリズムは理で捉えられるもの、しかしパトリなきショナリズムはいかがわしいものになってしまうと喝破していました。

ゴー宣にも引用されていた本書は、ナショナリズムの直接的ルーツを自然な民族感情に求めるのではなく、それは近代において発明された、文化的人造物であり、想像されたものである、という考え方をとっています

アンダーソンが、近代国民の登場の舞台を準備したものとして第一にあげるのが、出版資本主義(プリントキャピタリズム)による俗語化の推進(ラテン語からの)。

18世紀後半に新大陸で誕生した国家の背景として
16世紀以来のスペイン統治下の行政単位が自足的性格を持つようになった結果、これらの行政単位の中を遍歴してゆくクレオール役人(中世の宗教的巡礼になぞらえて、新しい巡礼の旅と呼んでいる)と地方ごとの印刷業者が発行した新聞の存在を指摘。アンダーソンは新大陸での一連の動きをクレオールナショナリズムと呼んでいる。


クレオールナショナリズムでは言語が争点とはならなかったのに対して、旧世界ヨーロッパでは辞書編纂革命等を通して国民的出版語が生まれてゆき、これを基盤として想像の共同体としての国民が生まれてゆく。
しかしこの国民とは特許権の設定できない発明であり、フランス革命もアメリカ独立運動も印刷された言葉によって、1つのモデルとなり、海賊版を作りうるものとなった。(アンダーソンは俗語ナショナリズムあるいは民衆的ナショナリズムと呼ぶ)


民衆的ナショナリズムの勃興は、多言語領土をもつハプスブルグ帝国やロシア帝国、大英帝国などへ難問を突き付けることとなり、排除される危機に直面した支配集団の応戦として公定ナショナリズムシートンワトソンが東欧について呼んだがアンダーソンはより普遍化して捉えている)が生まれる。これによりスロバキア人がマジャール化されインド人はイギリス化され、朝鮮人は日本人化されるという、矛盾が世界規模で引き起こされた

最後に植民地の学校教育と行政官の中で誕生した二重言語のインテリゲンチアが自分たちを、土民(ネイティヴズ)から同国人(ナショナルズ)へ認識を変えることで、クレオールナショナリズム、俗語ナショナリズム、公定ナショナリズムがさまざまな組み合わせでコピーされ、世界中に拡散してゆくこととなった。

ざっくりとした内容はこんな感じです。
ざっくりしすぎて幾つかポイントを外してるかもしれませんが、そも、社会学を専攻したわけでもない私のレベルでは、この辺が精いっぱい…。詳しくは本書に譲りますw


改訂版で付け加えられた付論の最終章では本書が各国語で翻訳されて行く状況が語られるのですが…
既にスウェーデン語版があるのに人口の少ないノルウェー語版(ノルウェー人はスウェーデン語が読める)が要るのかと問うと“我々自身の国語で読むのがもちろん最高だ”と返ってきたり、韓国や中国で海賊版が出版されたりと、本書がまさに各国のナショナリズムに受容されて行く様がなかなか面白いです。

最初に英語以外に翻訳されたのが日本語版だそうなのですが、最初の出版社リブロポートについて『この出版社の所有者、堤氏は、大実業家の息子で、かれは父親に逆らって詩人、作家の途を選択した人物であるが…(中略)…かれは編集者にもうけることは考えないでよい、良い本を出せばよい、と言った。…この出版社は1990年代に破綻した。』と言うくだりがあります。
今は亡きセゾン文化とリブロポートのことが頭をよぎりジ~ンと来てしまいました。まったくの余談ではありますが…


さて、本書の刊行後から四半世紀が過ぎた現在は爆発的に普及したインターネットとグローバリズムの進展により、ナショナリズムは衰弱するのかと思いきや、現実に起こったことは真逆であった!これについては→池田信夫氏のBlogをお読みください。
今後はサイバースペース上でのナショナリズムの展開と行く末が気になるところであります。


本書は、人文書の翻訳書に不可避的なややこしい表現はありますが、アンダーソン自身が述べているように一般的な言葉で書かれているので、取り立てて難解ということはありません。
ちょっと学生気分に戻ってみたい大人の方におすすめの一冊です。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★(たまには少し硬めの本でも…)  

┃ テーマ:最近読んだ本 ━ ジャンル:本・雑誌

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== ビジネス・人文 ==

読み所満載!『日本人が知らない軍事学の常識』兵頭二十八

日本人には珍しく、結論を誤魔化さずにハッキリ述べる為に、トンデモ言論人と誤解されてしまう兵頭二十八の最新刊!

日本人が知らない軍事学の常識日本人が知らない軍事学の常識
(2012/03/17)
兵頭二十八

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タイトルは軍事学の常識と大上段に振りかぶってはおりますが、内容は、近年の東アジアの軍事情勢解説といった所です。相変わらず明快な文章で、軍事ド素人の我々にも、面白く読み応えがあります。
兵頭二十八氏って、文章は時々拝読するのですが、しゃべくりの方はどうなんでしょう?そこそこイケル方だったら、“世界一受けたい授業”とかに出てほしいなぁ…。視聴率も取れると思うんだけど…。


さて本書で取り上げられる内容はザックリといって
・近年のアメリカ四軍の戦略・戦術の変化
・日本の自衛隊の現況
・中国およびその他周辺国の戦力分析
・核抑止力とMDの実態
・靖国神社問題の本質


という5つのテーマについて述べられています。(ザックリ過ぎてスイマセン兵頭センセイっ)

でもって私が最も目からウロコだった点が以下の二点。

まずはアメリカ海兵隊が、対支抑止力としての存在感が既に稀薄化しているという指摘。
1983年のベイルート海兵隊員宿舎爆弾テロにより、ベイルートから海兵隊を全面撤収させたことで、世界(特に中国共産党)はアメリカ大統領は高死傷率が予期されるところへは海兵隊も投入できないと認識されてしまっているのであり、この時に海兵隊という軍隊は死んだのだと喝破する兵頭先生!
しかも近年の米議会内では海兵隊はもはや第二陸軍にほかならず不要な組織であるとの認識が急速に広まりつつあり、仮に日本が思いやり予算というおいしすぎるメリットを廃止してしまえば、勝手に沖縄から出て行くであろうと…。
沖縄に海兵隊がいるのは思いやり予算目当てだけだったとは…。
もっとも今回の震災時のトモダチ作戦の米軍の支援を金額換算すれば、これまでの思いやり予算のモトは十分取れているらしいので、一概にムダ金だったとも言えないらしい。


2点目は中国軍の実態は張子の虎で、実際は弱すぎて相手にならないのだが、それをバラすとアメリカ側が(あるいは日本も)軍事予算の獲得ができないので、本当は弱いんだとは絶対に言わないのだいう事。
特に空軍の戦闘機は、ロシアのスホイ27のパクリで話題になった最新鋭機でも中国製エンジンは30時間おきに飛行機から取り外して整備せねばならぬのだそうで、始終整備ばかりが必要でかつ故障がちな為、稼働率が低く、パイロットの数より、戦闘機の数のほうが多い!といった事態になっていおり。したがって戦闘機が数的に増強されると聞いても直ちに恐れる必要はないのだそうだ。なるほど!


ほかにも航空自衛隊のF-X問題や無人攻撃機の可能性等々、読みどころ満載です。
しかも例によっての
兵頭節で、わかり易く且つ面白く綴られているので、一気に読み通せます。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★ (軍事に興味のない方でも面白く読めると思います)   

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== ビジネス・人文 ==

言論空間の構造を解明かす傑作『当事者の時代』佐々木俊尚

キュレーションの時代 電子書籍の衝撃』 などホットな社会問題について、ロジカル且つ読者を惹きつける話の構成と、わかり易い言葉で著作を発表している佐々木俊尚氏の最新作。本書も”目からウロコ“と“知的興奮”が詰まった傑作です!

「当事者」の時代 (光文社新書)「当事者」の時代 (光文社新書)
(2012/03/16)
佐々木 俊尚

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本書では、現在の日本の言論空間が抱える問題について、その構造と歴史的経緯が、わかり易く且つ興味深く、解き明かされて行きます。

メディア言論空間の現状モデルを説明するにあたって『夜回り共同体』と『マイノリティ憑依』という2つのキーワードを使って、全体像が解明されて行くのですが…。

『夜回り共同体』とは、悪名高き「記者会見共同体」というオモテ向きの広場型共同体に対する、隠されたウラ側のもう一つの共同体として存在するものであり。
検事や検察幹部と記者個人の間の一対一の関係により形成され、禅問答の様なやり取りや、表情や空気といった、濃密なハイコンテキストに包まれた空間。
具体例として取り上げられる著者の毎日新聞記者時代の経験談は、そこまで書いて良いのか?と思う位の迫力でまさにリアル“クライマーズハイ”といった趣です。
(本文中でも例えとして取り上げられる横山秀夫のクライマーズハイ、ご存じの方は旅館に忍び込んだ佐山が事故調査官に圧力隔壁をブツけた後“サツ官ならイエスです”とデスクの悠木に電話で報告をする例の場面を思い起こして下さいっ!)

当局と記者はオモテとウラの二重の共同体構造により成り立っている…という訳です。

もう一つの『マイノリティ憑依』とは、自己を被害者や弱者の立場に同化させることで、被害者・弱者の視点から社会全体を見下ろし、自分以外を加害者・強者として断罪してしまうような言論状況を示します。
メディアが取り上げる“市民”がサイレントマジョリティとしての庶民ではなく、ノイジィマイノリティであるプロの市民運動家のそれである背景にこの『マイノリティ憑依』があると…。
このマイノリティ憑依が生まれた原因について、著者は終戦後の混乱期からの戦後メディア言論の変遷と歴史的経緯の中から解き明かしてゆきます。
ここまでわかり易く且つ明快に、戦後言論の問題の歴史的変遷を表したものは、他にはないのではないか?と思わせる位、知的に興奮させられる部分であり、本書の白眉と言ってもいいでしょう。


小田実の言説については、私はかなり誤解していたんだなぁと知らされましたし、「7・7告発」についても恥ずかしながら初めて知りました。
なにより、市民運動寄りのメディア報道については“どうせ全共闘あがりの記者が大勢いるから左寄りなんだろっ”ぐらいにしか考えてこなかったのですが、そんな単純な構造ではなかったというのは驚きでした。特に記者が市民運動を嫌っている!という実態は衝撃的でありました。


終章では、マイノリティ憑依というアウトサイドからの視点と夜回り共同体というインサイドからの視点という二つに断絶し乖離した視点を超えて、いかに当事者としての立ち位置を取り戻すのか?という重い課題が提示されます。結論は我々の中にあるようですが…。

新書版にしては472頁という結構重たいボリュームですが、ドラマティックなプロローグから始まり、飽きさせない展開になっているので、ぐんぐん読み進められると思います。
ぜひ多くの人に読んで欲しいと思う一冊です!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★ (今のところ今年の新書№1)  

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== 小説・エッセイ ==

ジョーカー・ゲーム最新作!『パラダイス・ロスト』 柳広司

日本陸軍内に“魔王”結城中佐の手で秘かに設立された諜報組織“D機関”をめぐるジョーカー・ゲームシリーズの第三弾!

パラダイス・ロストパラダイス・ロスト
(2012/03/24)
柳 広司

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第1作が支邦事変が始まる昭和12年頃からスタートし、前作ダブルジョーカーは真珠湾攻撃勃発の昭和16年12月のアメリカ西海岸で終わっていました。
第3弾の本作は時間が数か月巻き戻されて、欧州でフランスがヒトラーに降伏した後、日本の対米開戦直前の緊迫した時期が舞台です。


本シリーズの魅力は何と言っても、頭脳戦による騙し合いを読み進めるうちに、我々読者が鮮やかに騙されてしまうところでしょう。散りばめられた話の伏線から、いやがうえにもストーリー展開を想像させられる様に仕向けられるが、実は伏線自体がギミックで、鮮やかに裏切られてしまう!
カタルシスとは正にこの事!という快感が味わえます。


佐藤優をして『日本にインテリジェント・ミステリーという新分野を開拓した』『秋山俊少将(陸軍中野学校の生みの親)の精神が憑依している』とまで言わしめた緻密なストーリー構成は本作でも健在です。
シリーズものはややもすると、回を重ねるにつれてパワーダウンてゆく作品が少なくないですが、本作は逆に1作ごとに作品に深みがまし研ぎ澄まされて行く感があります。

短編の中に濃密に圧縮されたストーリーの切れ味は、宮部みゆき作品にも劣らない、ほれぼれするような完成度です。

私が最も興奮したのは収録第3話の『追跡』。
タイムズ紙特派員プライスがD機関の取材調査を開始、ついに結城中佐の幼少期を解き明かす……!?
おっとこの先は本書を読んでのお楽しみw

次回作はいよいよパールハーバー以降の戦時下へ突入となるのでしょうか?
読み終えた途端に次が早く読みたくなる傑作ミステリーでありました。
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★ (今のところ今年のエンタメ小説№1)   

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== 小説・エッセイ ==

シリーズ18弾!『逆説の日本史18幕末年代史編Ⅰ』井沢元彦

日本の歴史を普段と少し違った角度から見せてくれる人気シリーズの第十八弾。
オオクニヌシの出雲神話から始まったシリーズもいよいよ佳境の幕末へ突入です!


逆説の日本史 18 幕末年代史編1逆説の日本史 18 幕末年代史編1
(2012/03/12)
井沢 元彦

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誰もがなんとなく知ったつもりでいる日本史上の出来事を、角度を変えて見てみると、全く違った世界観が開けてくる事を教えてくれるのが、このシリーズの醍醐味ですよね。
今回のお話のテーマの一つは黒船来航。
日本人が何となく思っている“ある日突然ペリーの艦隊が浦賀沖に現れた”というのは大まちがいだということで…。


ペリー来航の16年前に民間使節として商船モリソン号が来航しているというのは、何となくモリソン号事件という名前だけ覚えていたのですが、このモリソン号って江戸湾に入って浦賀沖に来ていたのですね!知りませんでした。なおかつ野次馬の漁船が周りに集まってきたので、モリソン号側は甲板に200人近い日本人をあげ、スイートワインとクッキーをふるまっていたのだそうな。
物見高いは江戸の常とは申せ当時の日本人の好奇心には、な
んだか笑ってしまいます。しかもこの時、来航目的を示した非公式文書としての覚書が日本側に渡されていたらしい。

それから9年後に軍艦2隻(蒸気船ではないが)で東インド艦隊の司令官ジェームズ・ビットルがやはり浦賀沖に来航し、公式文書を日本側へ渡しているので、これが日米の国家間交渉のファーストコンタクトということになるらしい。

そしてその7年後に蒸気船を含む軍艦4隻でペリーが浦賀にやってくる訳で…。
ちなみにペリーさんてアドミラル(提督)ではなくてコモデア(代将)だったんですね。だからペリー提督とかいうのは間違いなんですね、初めて知りましたぁ。


して見ると、江戸湾浦賀沖にはアメリカがやってきたのはペリーが3度目で。その間オランダ側からは開国を進める忠告があり、さらにはペリーが日本に向かう旨の事前情報も得ていたのに、その間の幕府のとった行動とは、ひとまず課題を先送りにし結局何もしないということだった…。でペリーの恫喝に追い込まれて泥縄式に開国をしてしまう。

この問題が発生してもとりあえずは何もしない⇒追い込まれてからあわてて泥縄式に対応
という行動パターンは、現在の霞が関もそっくりですよね。なんか口あんぐりです。


しかもアメリカ側にとっては、下手に出ると、言葉で誤魔化したり時には嘘をついて、のらりくらりと逃げるけれど、強気に脅せば安易に折れてくる、というのが対日交渉での最初の教訓であり、現在も当局の対日担当者であればこの歴史を当然学ぶ事になっていると聞くと、なんだか気分が暗くなってしまいます。

さて、ほかにも教科書で、不利な銀の交換レートを結ばされて物価が高騰し庶民を苦しめたなんて1行の記述で終わっている件について、わかりやすくそのカラクリと意義についての説明があり、必読です。
事実上この問題で幕府はチェックメイトに追い込まれたんですね!


さすがにテッパンシリーズだけあって、今回も読みどころ満載です
特に今回は幕末がお好きな方(ビビる大木さんとか)にもおすすめです!
読後の感想・おすすめ度⇒★★★★★ (相変わらずツボを外さない手堅い面白さ!)  

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